正しく歩く

 みなさん、ごきげんいかがですか?カチョーでございます。早いものでもう4月。桜の美しい季節になりました。さて、春のコンペ・ラッシュも先日の広島国際親善ダンス競技大会で一段落し、少し落ち着いた気分になりましたので、今回は春の試合を通して感じたことを書いてみたいと思います。
 私個人は、スタンダードダンスとは、向き合った男女が美しく歩く事だと思っています。ですから個人的に解剖学や歩行分析の本を読んで、自分なりに体のあるべき姿や使い方を理解しているつもりなのですが、前進歩行はさておき、ダンスというのはとても特殊で後退歩行が連続で行われたりします。この後退歩行に関しては、けっこう頑張って探したのですが資料も文献も見つけることができませんでした。そこである日のカリパス塾で佐藤吉将先生に後退歩行について質問したところ、先生からは「初期接地がボールになるだけで、前進歩行の完全なるリバースになります。」とのこと。その時はそれで「なるほど(・o・)」と分かったつもりだったのです。
 その後、ティモシー・ホーソン先生のレッスンを受ける機会がありました。彼はとにかくとってもフットワークに几帳面な先生で、踵の外側から足指の爪が床に触るまで、両足をちゃんと使わないと許してくれないので、大雑把なカチョーには苦手なレッスンなのですが、今回ティモシーが忍耐強く付き合ってくれたお陰でピン(・・!)ときたことがあり、「もしかして足ってコンパスみたいになる?」と聞いたところティモシーは「コンパス!いいね、コンパス!そのとおり(^_-)」と認めてくれました。ここでもまた「なるほどなるほど(・o・)」と何か自分の中で繋がったような気がしました。
 そして先日の広島国際親善試合です。チャンピオンのアルナス&カチューシャもこの試合にはエントリーしており、それはそれは素晴しいダンスを披露してくれたわけなのですが、とりわけ私はカチューシャのフェザーステップに目を奪われました。確かに「前進の完全なるリバース」でした。私の中では長く疑問だった後退歩行ですが、カチューシャを見てなんだかいっぺんに分かったような気がしました。そして彼らの滑らかな連続スピンは両足がいつもフロアに接していて、それぞれの足がフロアに円を描くように使われています。そう、まさしくコンパスです。自分では正しく歩くことが大切だと知っていても、やはり実際は派手なトップの動きに気が集中して、足元にちゃんと意識がなかったなーと彼らを見て反省しました。なぜティモシーがあんなにもフットワークにこだわるのかも、今は本当に良く分かります。足元が正しく機能することが、クリーンでエレガントなダンスの源なんですね。そしてチャンピオンとは、世界一正しく機能的に大きな歩幅でラクラクと歩ける人達のことをいうのではないかと、カチョーは思います。
 6月はまたインター・シーズンが到来します。今回学んだことをよく考えて、インターまでに少しでもフットワークを改善して、よりスムーズに踊れるように努力したいと思います。